司修『影について』読了 梅風呂

2008年04月02日

司修『影について』読了

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影について

司修
講談社文芸文庫つG1
ISBN-13: 978-4062900003
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司修は群馬出身の画家、エッセイスト、小説家。エンデの『サーカス物語』や『遺産相続ゲーム』などの装丁も手がけているらしい。
『影について』は短編連作集で、作者自身が投影されていると思しき主人公「光平」のことが少年期、青年期、老年期をいきつもどりつしながら語られる。作者が画家というだけあって風景や物の描写が絵画的で、非常に色鮮やか。リアルに徹するのかと思えばそうでもなく、時折ファンタジーに乖離していくのに何とも不思議な浮遊感を覚える。
以下、印象に残った部分。

「言葉には、景色以上に歌う人の心が入り込めるが、絵になると、見える景色が形を呼んでしまって、心が隠れてしまう。」

「『いのち』を形にすることは、空気を形にするのに似ていた。空気も、見ようと思えば見えるのだ。見える瞬間があるのだ。だが描くことはできない。人間は心で感じ、心で生き、心の病を持つが、人間の体のどこを探しても心は見つからない。『いのち』は見つけられるのに形とすることができない。」


最近長編を読み続けられない。アーヴィングの『また会う日まで』もスタインベックの『チャーリーとの旅』も栞を挟んだままだ。
posted by うめ at 22:45| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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