樹なつき『獣王星』 梅風呂

2007年03月19日

樹なつき『獣王星』

獣王星

■『獣王星
■樹 いつき
■白泉社
■ISBN-13: 978-4592134152 他

昔尚子に貸してもらった『OZ』と同じ作者によるもの。
何不自由ない生活をしていたエリートの少年が死刑星に落とされ、絶望の淵に立たされるが、仲間を見つけ、生きる術を身につけて、成長していく。一種のシンデレラストーリーといえるが、後半の超展開には度肝を抜かれ、たった5巻の中にこれだけの要素をつめこみ、それでいてストーリーに破綻をきたすことのない作者の力量に完全脱帽。偶然にも最近読んだジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの『ヒューストン、ヒューストン、聞こえるか?』にリンクするところがあった。SFもよいな。
けれども、少し残念だったのは、美形の登場人物たち(もちろん男同士だ)が大した意味もないのに顔と顔を近づけあったり、一方がもう一方の髪をかきあげたりするシーンが多くみられたことだ。腐女子(笑)の心をくすぐる見せ場として、少女漫画としては常套的な描写手段なんだろうが、こういう表現が多用されているが故にいわゆる「少女漫画」の域を超えていない部分があるように思った。
そういえば、ジャンプ連載漫画をはじめとする「少年漫画」がドラゴンボールの落とす大きな影から未だに抜けきっていないのも残念だなあ。たくさんの「少年漫画」で天下一武道会が催されるのはどう考えてもおかしいだろう。トーナメント形式で登場人物たちを闘わせると、話を引き伸ばせて便利なんだろうが。

さて、今度は『八雲たつ』を読んでみようと思う。誰か持っていないだろうか。
posted by うめ at 21:28| 東京 ☀| Comment(3) | TrackBack(0) | 漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あれ、開店してる。
Posted by みぽ at 2007年03月20日 19:49
おお。開店歓迎。

こないだはたしか「OZ」の悪口言ってたのに。
「獣王星」は良かったのね。
少女漫画の域を出てないというか、その範囲内で
これだけ面白くできるってすごいんでないの。
「八雲たつ」もいいよ。でもゆうこにあげちゃったのよね〜。
Posted by na-chan at 2007年03月21日 20:35
『OZ』よりも良かったよ。殺したくないけれど殺さなければならず、それに煩悶するところとか、双子の弟への相反する感情に戸惑うところか、きっちり描かれてたね。

正確にいうと、やおいっぽい、ああいう表現をあえて多用することで、「少女漫画」の枠をみずから作り上げ、それにはまってしまっているような気がしたんだ。純粋にそのシーンに合った表現、演出をすればいいと思う。
僕は「少年漫画」や「少女漫画」という枠組みで漫画を区切る必要はないんじゃないかと思うよ。それぞれの枠組み(男、女という枠)の中で伝統的に使用されてきた表現は、同じ枠の中にいる読者にとってはキャッチーで、そして作者にとっては便利なツールなんだろうけれど、それがかえって読者の幅を狭め、表現を制限してしまうことに繋がりかねないような気がする。

そういえば、面白いブログを見つけた。
http://indigosong.net/
Posted by うめ at 2007年03月21日 22:26
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