アニー・トレメル・ウィルコックス『古書修復の愉しみ』読了 梅風呂

2004年11月30日

アニー・トレメル・ウィルコックス『古書修復の愉しみ』読了

アニー・トレメル・ウィルコックス『古書修復の愉しみ』読了。
原題は"A Degree of Mastery:A Journey through Book Arts Apprenticeship" by Annie Tremmel Wilcox 。原題をそのまま訳すと、『習熟の課程−書物工芸修行の旅』。



以下はアマゾンより抜粋。

本書はアメリカの一流製本工芸・書籍修復家ウィリアム・アンソニーに女性としてはじめて弟子入りした著者が、書籍修復家として成長する過程を自伝的につづった回想録である。  その魅力は、書籍修復、それも西洋の古い稀覯本という一般の人がほとんど知らない特殊な世界を具体的な技術を含め、実に詳しく面白く、いきいきと描き出している点にある。  いきなり修復作業の現場から始まる書き出しも巧みで、読者は目をみはる思いで作業工程のひとつひとつをたどってゆくことになる。といっても技術的な手引き書ではない。壊れた本の直し方について、職人の命の道具について、情熱をこめて語る著者の筆致は、無味乾燥な技法の記述とはほど遠い。書物の美に魅入られた人間が、自らの体験に基づき、製本工芸という~~手仕事の技を学ぶ愉しみ、実践する喜びをつづったところに面白さがある。  本書はまた師との出会いから、弟子としての修業時代、そして師匠の死を乗り越えて一人前の職人になるという一種の成長物語となっており、失敗や苦労も含めて徒弟時代の興味深いエピソードの数々がユーモアを交えて語られる。  本が機械で大量生産されては捨てられてゆく時代の中~~で、貴重な古書を手で丹念に修復するという営みは、決して単なる時代錯誤やノスタルジアではない。 書物という知的財産を、数十年、数百年にわたって保存し、次代に伝えることの意味ははかりしれないほど大きい。~



実はこの本を読み始めたのは10月である。読み終えるのに1ヶ月以上かかってしまった。僕の読書には2パターンあって、ほんの2,3日で読みきってしまう場合と、それこそ1ヶ月程度かかってしまう場合がある。
専門的な言葉多く出てきて難しいというのも時間がかかる理由の一つだが、「数年にわたる出来事」を日を追って描いている本の場合、一気に読み進めてしまうことができないのである。本の時間に「あてられてしまう」というのか・・・。


さて内容だが、本書はアメリカでの貴重書の修復作業を扱ったもの。そこに日本の和紙、砥石、刷毛などもでてきて面白い。著者は日本で紙漉きを学んだアメリカ人から紙漉きを習ったり、アメリカに渡った日本人建具師トシオ・オーダテが英語で記した著書を読んだりして、日本的な職人気質に大いに関心があるようである。


翻訳に関してだが、訳者はこの本を訳すために「書籍の修理と保存」という講座に1年半通ったそうである。天晴れ訳者魂。しかし、もう少し日本語に気を遣って欲しいなと思う部分もあった。
posted by うめ at 12:25| バンコク ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 北米の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この本、面白そうですね。
値段からすると、写真が多いんでしょうか。

今度大きい書店に行ったときに探してみます。
Posted by melon at 2004年12月01日 05:54
melonさんこんにちは。

この本には写真が全くなく、イラストがほんの少しあるだけです。専門的な用語も多いです。その用語が実際の本のどの部分を指しているのか、少し把握しづらい感もありました。写真をもとに逐一説明してくれていれば有難かったのですが。

ともあれ、なかなか新鮮で面白い本でしたよ! 1990年以前のことしか書かれていないので、その後主人公や古書修復の世界がどのような道を歩むことになったのか、ちょっと調べてみたくなりました。
Posted by うめ at 2004年12月01日 09:47
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