夏から秋へ 梅風呂

2008年10月10日

夏から秋へ

「抱えていた仕事が一段落し、重い荷物を下ろした旅人のような気持ちで散歩に出かけたところ、もう稲刈りが始まっているのに気が付いた。すでに稲が全部刈り取られているところもあったし、コンバインを入れる準備をしているのだろう、降り口の稲だけをきれいに刈り取って束ねてある田んぼもあった。夏が終わろうとしている。
この夏の僕は須賀敦子と共にあった。余裕のない仕事の合間合間に彼女のエッセイを少しずつ読み進め、彼女の人生を辿っていった。翻訳という仕事は物理的にも精神的にもとにかく孤独な作業で、幾日も家族以外の誰とも口を利かないこともある。ひたすら自分のまずい訳文と向き合っているうちに、言葉の海に溺れてしまうような感覚に陥ることもある。そんなぎりぎりのところで仕事を続けていたこの夏の僕を支えてくれたのが、須賀敦子の文章だった。須賀敦子は」

という日記を書きかけのまま放置していたら、内容の賞味期限が切れてしまった。「夏が終わろうとしている」どころか、「秋が深まりつつある」。

この夏も相変わらず仕事漬けの地味な日々を過ごしたのだが、それでもちょこちょこ暇を見つけて、本を読んだり、田舎の方に足をのばしたりした。9 月に初めには 1 週間の夏休みをとり、広島、倉敷、出雲、神戸、京都にでかけた。広島では久しぶりに b98 に会ってお好み焼きを食べ、倉敷では叔父夫婦と一緒に大原美術館へ (エル・グレコの「受胎告知」で有名な美術館だ)。そのまま中国山地を抜けて出雲を訪れ、出雲大社に参詣。日御碕の切り立った岸壁で、日本海に沈む夕日を見た。神戸ではシャガール展へ。京都ではイクスタに会い、アーツ&クラフツ展を観覧。充実した 1 週間だった。

姫路に帰ってきてからこちら、たいしたことをせず、たいして成長もせず、ただ昇る朝日と沈む夕日を目で追うだけのような日々を生きているのでは、という虚無的な気分におちいることもあるが、こうして振り返ってみると、少しは文化的、生産的なことをできているらしい。
posted by うめ at 01:20| 東京 ☀| Comment(4) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
夏から秋になり、なんか姫路は寒いんですが......。
風邪ひかないように気をつけましょう(^^)。
Posted by おおつか at 2008年10月10日 07:20
お仕事、お疲れ様でした。達成感でいっぱいじゃない?

大原美術館、シャガール展などよかったですね。
やっぱり、秋は何か芸術に触れたくなりますよね。
なかちに会えたのもよかったね!

ピアノはどうですか?

引き続き、よい季節をお楽しみ下さい。
Posted by しょぼん at 2008年10月10日 19:06
いつでも美術館とかいっしょに行こうねえ!
こないだはどうもありがとう!
Posted by イクスタ at 2008年10月10日 23:55
>おおつかくん

最近、寒いよね。今日は少し暖房を付けてしまった。

>しょぼん姐さん

達成感というより解放感ですかねえ。
ピアノはここのところサボり気味です。

>イクスタ

また面白い展覧会を探しときます。
Posted by うめ at 2008年10月14日 21:13
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