梅風呂

2010年06月21日

国分拓『ヤノマミ』



ヤノマミ


読書とは単なる知識を得るための作業ではなく、著者の経験や思考の道筋を追体験する営みなのだと再認識した。


たとえばWikipediaの「ヤノマミ族」の項には、ヤノマミの生活様式や社会や文化がごく簡潔にまとめられている。これを読むと、ヤノマミという民族についてひととおりの知識を得ることができる。しかしそれは通り一遍の表層的な知識であり、ヤノマミを情報として知ったに過ぎない。一方、実際にアマゾンの奥底でヤノマミと生活を共にした著者の文章を読むと、著者と共に森の圧倒的な存在感を感じたり、「ナプ」(ヤノマミにとっての「外人」のこと)としての疎外感を味わったり、文明人の倫理観や価値観を根底から揺るがす光景を目の当たりにしたりしながら、ヤノマミについての理解を深めていくことができる。この経験は、脳みそだけでなく心にも刻み込まれる。まさに追体験である。


情報を仕入れたいだけならWikipediaや百科事典を読めばいい。けれども、物事をより深く、内側から知りたいなら、こうした書籍を読むべきだと改めて思った。


posted by うめ at 21:51| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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