梅風呂

2010年06月21日

国分拓『ヤノマミ』



ヤノマミ


読書とは単なる知識を得るための作業ではなく、著者の経験や思考の道筋を追体験する営みなのだと再認識した。


たとえばWikipediaの「ヤノマミ族」の項には、ヤノマミの生活様式や社会や文化がごく簡潔にまとめられている。これを読むと、ヤノマミという民族についてひととおりの知識を得ることができる。しかしそれは通り一遍の表層的な知識であり、ヤノマミを情報として知ったに過ぎない。一方、実際にアマゾンの奥底でヤノマミと生活を共にした著者の文章を読むと、著者と共に森の圧倒的な存在感を感じたり、「ナプ」(ヤノマミにとっての「外人」のこと)としての疎外感を味わったり、文明人の倫理観や価値観を根底から揺るがす光景を目の当たりにしたりしながら、ヤノマミについての理解を深めていくことができる。この経験は、脳みそだけでなく心にも刻み込まれる。まさに追体験である。


情報を仕入れたいだけならWikipediaや百科事典を読めばいい。けれども、物事をより深く、内側から知りたいなら、こうした書籍を読むべきだと改めて思った。


posted by うめ at 21:51| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月20日

町田康『告白』



アンラッキーヤングメン 1


告白


図書館でのこと。カウンターで前に並んでいた女性が湊かなえの『告白』を返却したのに気が付いた。司書にその本を借りられるか尋ねたところ、予約ランキングの紙を指さしながら「いやいや、今『告白』は凄いですよ。予約が200件を超えていて、今予約されても借りられるのは2ヶ月半先です。凄いですよ」と「凄いですよ」を連発した。いやはや恐れ入りました。映画化の影響は凄い(ちなみにあの『1Q84 BOOK3』の予約は400件を超えている)。


仕方がないので、以前から気になっていた町田康版『告白』を借りて帰ることに。ほかに読みたい本が出てきたので途中までしか読めていないのだが、噂に違わずなかなか面白かった。文体の面で言えば、この本の醍醐味は河内弁と妙に思弁的な標準語が入り交じっているところにある。内容の面でこの小説を一言で表すと(こんなに分厚くて饒舌な小説を、しかも最後まで読んでもないのに一言で言い表すなんて、失礼千万なことだけれども)、啄木の「人間のつかはぬ言葉 ひよつとして われのみ知れるごとく思ふ日」。大塚英志の原作を藤原カムイが漫画化した『アンラッキーヤングメン』を思い出した。


時が来たら続きを読むことにしよう。


posted by うめ at 22:23| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月09日

ウィキッド


ミュージカル「ウィキッド」劇団四季版


仕事をお休みして平日のマチネを観てきた。大阪では3回目、東京とNYを入れると何回目になることやら。けれども今回はちょっと特別で、席が最前列ど真ん中。後ろの席からは見えないちょっとした仕草や、マイクに拾われない小声の相槌などもはっきりわかった。細かい演技をしてるんだなあ。

エルファバ役は樋口麻美さん。木村さんや江畑さんが不運を前面に出した陰のエルファバだとしたら、樋口さんは辛い生い立ちや暗い気持ちを押し隠して強く快活に生きようとする陽のエルファバ。普段陽気なだけに、時折見せる悲しげな表情や弱音がとても引き立つ。演じる人によって受ける印象がこうも違うとは。

グリンダ役は沼尾みゆきさん。とにかく歌が上手。グッド・ニュースの高音もすこーんと出ていて、気持ちよかった。

今回のベスト・パフォーマンスはネッサを演じた山本さん。エルファバが訪ねてくるシーンは鳥肌ものだった。額や首筋に青筋を立て、唾をとばしながら怒鳴ったり、うつむいたときに目から涙をポタポタ落としたり。迫真の演技とはまさにこのこと。NYキャストにも負けてない。いや、彼女こそ Nessarose of Nessaroses。

・・・とまあ今回も大満足でした。まだの人には、是非観に行ってもらいたいです。




劇団四季公式プロモーションビデオ。



ウィキッドの主要ナンバーのメドレー (ドイツのTV番組)。
posted by うめ at 11:24| 東京 ☔| Comment(3) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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